農業をやっていた親父は、自家製の卵油を飲んで96歳まで車を運転していました。その卵油のせいばかりではないでしょうけれど「食べ物って大事だな」と感じさせられました。
食べ物で健康が決まる。食べ物は、やがて、いのちに変わるもの ー そんな大切なことを、父親を通して知ったような気がします。
もともと私も、父と一緒に農業に携わっていました。だから野菜づくりも得意です。「食」と「農」に関わってに生きるかぎりは、野菜と同様に「卵」にもこだわらない訳にはいかない、と感じるようになった。それが、卵づくりのきっかけです。
一番ポピュラーで、完全食品と呼ばれる卵。同じやるなら、食べた人が本当に健康になれる「ちからのある卵」を提供したい。究極の「安心・安全」や「おいしいさ」に挑戦してみよう。
いまでも、そんな情熱は冷めることなく、卵づくりに向かわせています。
卵へのこだわり
化学薬品や抗生物質を使わずに、鶏たちを育てたい ー それが、私の卵づくりの原点です。
自然豊かな環境から湧き出る水、鶏舎の床下に敷き詰めた炭効果によるきれいな空気、そして微生物をたっぷり含んだ自家配合の発酵飼料で育てることにこだわっています。
薬には一切頼りません。薬を使った鶏は、卵も肉も臭いが強く出ます。薬剤を使うということは、大切な微生物たちを殺してしまうということなのです。微生物たちは、鶏はもちろん人間の細胞も活性化して、元気にすると考えています。卵にも肉にも、本来のおいしさと食べ物としてのちからを与えてくれます。
土の上で平飼いにすることによって鶏のストレスを、極力軽減させています。鶏の病気は、ストレスからくるものもの多いのです。人間と同じですね。
のびのび走り回るストレスの少ない鶏だから、元気な卵を産めます。鶏舎は十数年、化学薬品で消毒などしたことはありません。土着菌などの微生物たちの働きのおかげでしょう。免疫力をつけた鶏たちは、ほとんど病気知らずです。
薬剤による健康管理ではないので、手間はかかります。
自分の目や鼻など五感をフルに働かせて、行動を観察しながらの管理が必要です。
だから、自分自身の健康も、人一倍気を使っています。おかげで、五感がきちんと働いているせいでしょうか、鶏たちの健康状態や危険を、いち早く察知できています。